次世代電力供給政策の提言   (4/5)
3.その他の課題
上記の他、中長期的に取り組むべき課題として、電力ロスを削減することにより、電力の利用効率を向上するため、以下のような取組を検討すべきである。

(1)標準電圧の220ボルト化

現在、家庭用電力の電圧は100ボルトが一般的であるが、多くの家庭では、配電盤まで200ボルトの電力が供給されており、家庭内の配線とコンセントの工事を行えば、200ボルトの電圧が利用できるようになっている。

家庭で利用する電圧を高めた場合、電化製品の能力が向上し、調理器具の調理時間や電気自動車(EV)の充電時間を短縮できるなど、効果が大きい。

さらに、海外では220-240ボルトの電圧を採用している国が多く、これらの国との電気機器の互換性を高めるためには、将来的に我が国では220ボルトの電圧とすることが望ましい。

200ボルトの電化製品は、オール電化住宅などでの普及も徐々に始まっているが、一般の電化製品では商品数も少なく、十分浸透していない。そのため、将来的に、200ボルトではなく220ボルトの電圧を標準とすることとし、電気機器の規格もそれに対応したものとすべきである。

なお、200ボルトから220ボルトへの引き上げに関しては、設備的な問題はほとんど生じないと考えられる(現在でも、電気事業法施行規則第44条において、200ボルトの標準電圧の場合、202±20ボルトで供給することとされている)。

【提言】

  • 20年後までに、220ボルトを家庭用の標準電圧とする。
  • そのため、家庭における200ボルト化工事に対する補助、200ボルト化した家庭の電気料金割引を行う。
  • 家庭用の電気機器は、200-220ボルト対応の普及を促進する。
  • 家庭における200-220ボルト対応機器の普及が十分進んだ段階で、標準電圧を220ボルトに一本化する。

※ 韓国では1973年から32年間かけて110ボルトを220ボルトに切り替え、2005年に完了した。

(2)送電効率化のための技術開発

電力の利用効率のさらなる向上のため、直流送電や超電導送電など、送電技術の向上を目指した技術開発を促進すべきである。

現在、一般の電力は交流で送電されているが、電気機器の多くは、コンセントからの交流電流を、機器内部や外部アダプターで直流に変換して利用している。また、太陽光発電のように、直流で発電する方法の場合には、発電した直流電流を、交流に変換して送電している。

こうした変換の過程では電力のロスが生じることから、直流で発電した電気をそのまま直流で送電し、直流で利用することがでれば、電気の利用効率が向上する。

直流送電には、交流と比べて電圧の変換が難しいなど短所もあるため、交流送電を全て代替するものではないが、直流送電の方がメリットがあると考えられる場合(例:家庭の太陽電池・燃料電池の電力をそのまま家庭内で利用する場合、長距離・高圧の送電を行う場合)には、直流のままで送電し利用する方法の開発・普及を推進すべきである。

また、直流送電とあわせて、電気抵抗をゼロにする超電導送電技術も研究されているが、導入すれば送電効率の大幅な向上が期待できるため、技術開発を推進すべきである。

【提言】

  • 送電技術向上のための技術開発を推進する
    例:家庭内での直流送電、HVDC(直流高圧送電)、超電導送電

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